2021/02/09 12:47




黒を久しぶりにご紹介するきっかけになったのは、以前に黒をご購入くださったお客様からのご連絡でした。何年も大事に使っていただいた方からのご連絡には胸が熱くなります。その思いに触れ、今回の導入を決めました。


黒でもきつすぎないやわらかさを兼ね備えた、シェルならではの輝きです。





とはいえやっぱり白も好き。前回は材料確保がままならなかった白蝶貝ですが、今回は金具を4種からお選び頂けます。

個人的にはバックレバーの「swing」がお気に入り。フックとフープの良いとこどりみたいな感じです。


白への思い入れは昨年も語っていますので、こちらからご覧になってみてくださいね


https://www.instagram.com/explore/tags/shell_alm2020/





白と黒、どちらも直径8mmのビーズを編みくるんでいるのだけど、なんとなく黒が小さく見えるのは目の錯覚なのか。でも本当に気持ち小さいような気もします。


黒の方はほんの少し、前面の開き部分を小さく、側面の密な糸の編み地が前から少し見えるくらいに調整しています。黒は輝き方にメリハリがあるというか、暗い時と明るい時の差が(私の感覚では)キツい気がしていて、それを和らげたいと思いあえてこうしています。


逆に白は、開き部分が少し側面までかかるるくらいにしています。そうすると良く光を取り込むようになり、シェル本来の輝き方が保てます。





使用しているシェルビーズには、当たり前ですが自然素材ならではの個体差があります。


直径8mm、厚さ23mmのビーズを選んでいますが、特に厚みに関して個体差が大きく、上下の面は綺麗な平行・フラットなものばかりではありません。自然の名残の曲面を残したものもあります。


そのゆらぎがあるので、編む時の力加減は一辺倒とはいきません。いつも以上に微調整が必要で、時間がかかります。でもそれこそが魅力だと感じているので、ひとつひとつの輝き方を見て、編みながら当てて直してを繰り返して仕立てます。


糸は他のアイテムよりも細くとったシルク。いつも以上に繊細なので解いて編み直すことはしません。





シェルは反射をしない角度もけっこうあります。でもだからこそ、光った時に「あれっ?」と思うくらいのさり気なさがLittlemissらしいと感じています。宝石やラメとも違う奥ゆかしさというか、優しい輝き方。


白は反射しない時にも糸や編み地が見えますが、黒はほぼ真っ黒な印象になります。黒は遠目だと編み地がほとんど見えないので、当然と言えば当然なのですが。


見るたびに印象を変える耳飾り。会話のきっかけもつくってくれそうです。





このビーズを選ぶ理由は、コロッとした愛らしい厚みのバランスです。もっと平たいものは多く出回っているようなのですが、この厚みがあるものを探すとなかなか見つからない。


厚みがあるほど真珠層の重なりも増え、輝き方に深みが増すはずです。単純に厚ければ良いというわけではないのですが、かたちのバランス的にもこれがお気に入りです。


前面はゆるく編み、糸の隙間からシェルの輝きを覗かせて。側面から裏面にかけてはぎゅっと編み詰めてしっかり固定しつつ、編み地の美しさを見せています。

そのコントラストが見せられるのも、ある程度の厚みがあってこそ。


実は裏面も好きな私。編み地の小さな隙間から煌めきがこぼれます。揺れるデザインではそんな裏面の魅力も愛でていただけたらと思っています





スタッズ以外は全て揺れるタイプになります。個人的にshellにはスタッズが一番似合うような気がしているのですが、揺れる姿もまた捨てがたく。揺れるたびに輝きが変化し、表情がくるくると変わります。


シェルビーズの数を十分に確保できたからこそ実現したラインナップです。いつ手に入らなくなってもおかしくないことを知って、思い切りよく仕入れました。




お伝えしてきた通り、これはシェルビーズ(貝のビーズ)をルク糸で編み包んでいるシンプルなアイテムです。


シェルの魅力はきちんと見せつつ「Littlemissなら糸が主体になる方が自然」という思いから出来たバランス。それと「接着剤を使わなくても保つ構造」という約束事。振り返ってみればごく簡単でシンプルですが、こだわりを貫いた仕立てです。


糸だけで構成するアイテムがほとんどのLittlemissの中で、例外として不定期ながら繰り返し作っているのはこのshellだけ。組み合わせる素材の選択肢を増やせばラインナップも簡単に増やせるけれど、そうすることには抵抗がありました。それでもshellは幼い頃から大好きな素材だったこと、魅力的な個体を実際に手に取って、その魅力あふれる姿に見惚れたことで、取り入れてみたいと素直に思えました。


糸とシェルの組み合わせ自体は目新しいことではありませんが、それでもあえて〝わたし〟がやる意味みたいなことを考えていたような気がします。シンプルで簡単なことなのだけど、誰もやろうとしないか、誰にもできないようなこと。


定番アイテムではないながら、仕立ての面でも仕上がりの面でも、Littlemissらしいと胸張って言える存在となっているのが、この"shell"です。