2025/03/06 12:13



今回お披露目となる、しけ絹小袋。

ここでは5つのかたちそれぞれのポイントをご紹介します。


▽しけ絹小袋、基本情報はこちら

https://www.littlemiss-atelier.com/blog/2025/02/28/223036



松井機業さんのしけ絹のハギレと、canoanさんによるサクラの草木染めの組み合わせ。しけ絹の生地の透明感や自然な色味にcanoanさんの糸はとびきり相性がよく、とても嬉しくなりました。軽やかなネット編みを随所に取り入れています。


しけ絹のハギレの傷んだところなどを避けて裁断しました。あまり無駄を出したくないので、大きさをきっちり測ることはせずにそのまま活かして。大まかな「型」があっても、サイズやバランスはその時その時で違ってもいい、成り行きに合わせた自由な作り方にしたいと思いました。




ミシンでダダダと仕上げられる方が羨ましい気持ちもありつつ、繊細な生地と糸なので、ちくちく編みながら仕立てることにも意義があるかなと思えました。縫い針ほどの細さのかぎ針なので、生地に直接かぎ針を刺して糸を編み付けていきます。(基本形は縫ってあり、編み付けながら補強していくイメージです)



アップの写真が多いので勘違いされてしまうかもしれませんが、手のひらにすっぽり収まる大きさです。その小ささも含め、細部に散りばめたこだわりにキュンときていただけたら嬉しいです。






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【片紐巾着】


スタンダードな片紐巾着。下の部分がネット編みです。生地の透ける感じと、ネットの軽やかさの組み合わせがぴったりで嬉しくなりました。


なんていうか、生地と糸のこともそうですが、素材や質感の組み合わせたときの「ぴったりだな」と思う感覚が、自分の物差しというか、大事なところなのかもと思える瞬間でした。すごく些細なことかもしれないけれど、小袋と向き合う中でそういう瞬間が何度もありました。






片方絞りの紐は閉まり方がゆるやかなので、開閉時にはボタンをスライドさせてストッパー的に使います。半透明のすりガラスのような質感で、優しく光を反射する玉型のボタン。このボタンにはだいぶ前から惚れ込んでいて、どこかで使いたいなと温めていました。小袋にあまりに似合って、これもとびきり嬉しい瞬間でした。


上部はキリッと細編みに。ループの部分の編み包む感じもお気に入りです。紐は前回に続いてコットンのワックスコードを使いました。なめらかさと素朴さを兼ね備える感じで、使ううちにワックスが薄くなりクタッとしてくると思います。端っこはいろいろと迷いましたが、ほぐしてフサのようにしてみました。あまり他の素材の邪魔をせず、でもさりげなく可愛げのある感じに。






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【両紐巾着】


片紐の相方として考えた、両紐巾着。こちらは上にネット編みを加えています。両紐はきちっと締まってくれるので、ボタンは紐の端に固定。開ける時はフサみたいなところを、閉める時はボタンを持って引くとスムーズです。





絞った時のネット編み部分が特にお気に入りです。クッタリとした表情が、お花のようにも見えたり。巾着の上の部分って装飾的な要素が強そうなので省いても良いよねと思いましたが、ここは愛らしさを優先して分量多めに。


今回は全ての袋に取り外し可能な金具をつけました。巾着は内側に付いていて、絞った真ん中から紐などを出すことができます。なんとなく、金具があまり見えない方が生地や糸の風合いを邪魔しない気がしたので。不要な時には外してほしいけれど、外したら無くしてしまいそうだな私なら。お好みでどうぞ。







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【レター型】


今回唯一巾着でなく、ボタン留めのレター型。ネット編みの風合いが気に入った時点で、これもアリだなと思いました。


それと、ささやかにコレクションしているシェルボタンの中で、特にお気に入りのヴィンテージの小さな一粒を思い出しました。なんとなくもう手に入らない気がして秘蔵にしていたのですが、ここなら後悔なく使えると思いました。少しいびつな丸の、薄い足付きボタン。すごくしっくりきています。






くしゅっとなっていない分、しけ絹の風合いそのものを感じられるのはこの形が一番かもしれません。この形だけ、金具は外についています。あと、レターじゃなくてエンベロープかとも思ったけど、そこは伝わりやすさ重視のイメージで。









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【バケツ巾着】


バケツ、、?とお思いになるかもしれません。閉めた形ではなく、開いた時のかたちから名付けています。底が円形なので。






どうしても円を編みたくなってしまう私。袋を編むことを考えると、一番初めに思いつくのはやっぱりこのかたちでした。でも結果としては手間数が一番多いかたちになりました。底の形を保つために絞った内側が密かな見どころです。開けた時にちょっと嬉しくなるような。


こちらも片方絞りの紐なので、開閉時にはボタンをスライドさせてストッパーに。両紐にするか迷ったのだけど、縦のステッチは一本だし、アシンメトリー感が好みでした。







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【シュウマイ巾着】


平たくまんまるなシュウマイ巾着。円形の生地を絞っています。紐を短めにしたので平らには出来ませんが。


バケツ巾着と同じく立体的なかたち。程よくハリのある生地感も魅力のしけ絹だからこそ、空気を含むようにかたちが綺麗にまとまり、透け感もより際立ちます。


こちらも両紐なので、ボタンは紐の端に固定。開ける時はフサみたいなところを、閉める時はボタンを持って引くとスムーズです。






思いがけずハッさせられたのは、開いた時の姿の美しさ。程よく残る絞り跡の波に受ける光、ネット部分の軽やかさ、ささやかに光るボタン。何度もシャッターを切りたくなる。


シュウマイじゃなくてショウロンポウだったか?と思ったけど、角度を変えるうちにギョウザにも見えるしまあ良いかと思いながら。









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以上、5つのかたちの小袋です。いろいろと書いても、光を受ける質感や風合いみたいなもの、ミニチュアのような小ささからくるときめき、軽やかさなど、なかなか言葉と写真では伝えきれないことが多いと思います。直に見て感じて頂く機会があればとても嬉しいです。



新たな旅立ちのような喜びとともに。

どうか愛でて頂けますように。